高齢者のQOL(Quality of Life)向上において、食事は非常に重要な役割を果たします。
単に栄養を摂取するだけでなく、食事は心の栄養となり、生活に潤いを与え、健康維持にも不可欠です。
本コラムでは、高齢者のQOL向上に繋がる食事について、栄養面、心理面、そして社会的な側面から多角的にご紹介します。
1. 栄養面:バランスの取れた食事で健康を維持
高齢者は、代謝が低下し、特定の栄養素が不足しがちです。
そのため、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
- たんぱく質: 筋肉量の維持や、免疫力の向上に不可欠です。肉、魚、大豆製品などを積極的に摂りましょう。
- カルシウム: 骨の健康維持に必要です。牛乳、ヨーグルト、小魚などを摂りましょう。
- ビタミンD: カルシウムの吸収を助けます。日光浴や、鮭、卵、きのこ類などを摂りましょう。
- ビタミンB群: エネルギー代謝に関わり、疲労回復を助けます。豚肉、レバー、緑黄色野菜などを摂りましょう。
- 食物繊維:便秘の予防・改善に効果的です。野菜や果物を積極的に摂りましょう。
注意すべき点
- 塩分: 高血圧のリスクがある場合は、塩分を控えめにしましょう。
- 水分: 脱水症状を防ぐために、こまめに水分を摂りましょう。
2. 心理面:食事は心の栄養
食事は単に体を満たすだけでなく、心も満たしてくれます。
- 家族や友人との食事: 共食は、孤独感を解消し、心の安定をもたらします。
- 好きなものを食べる: 好きなものを食べと、幸福感が高まり、食欲の増進に繋がります。
- 見た目にも美しい食事: 彩り豊かで見た目にも美しい食事は、食欲をそそります。
3. 社会的な側面:食事はコミュニケーションの場
食事は、家族や友人とのコミュニケーションの場でもあります。
- 食事を通してのコミュニケーション: 食事を通して、家族や友人との関係を深めることができます。
- 地域社会とのつながり: 地域の食堂や行きつけのレストランを作ることで、地域社会とのつながりを保つことができます。
高齢者の食事の課題と対策
高齢者の食事には、以下のような課題があります。
- 食欲不振: 病気や薬の副作用、孤独感などが原因で、食欲が低下することがあります。
- 咀嚼や嚥下の困難: 歯の喪失や、病気による口腔機能の低下により、食事が困難になることがあります。
- 栄養バランスの偏り: 好き嫌いや、一人暮らしによる料理の面倒さなどが原因で、栄養バランスが偏ることがあります。
これらの課題に対して、以下の対策が考えられます。
- 調理法の工夫: 蒸したり煮込んだりすることで、食材が柔らかくなり栄養も吸収できます。
- 介護食: 柔らかい食品や、飲み込みやすい食品、減塩の食品などが様々な介護食が売られています。
- 栄養士の相談: 栄養士に相談し、食事のアドバイスを受けることも大切です。
- 食事宅配サービス: 配食(お弁当)サービスは、バランスの良い食事を届けてくれます。
まとめ
高齢者のQOL向上には、バランスの取れた食事が不可欠です。
栄養面だけでなく、心理面や社会的な側面からも食事を考えることが重要です。
家族や介護者、そして地域社会全体で、高齢者の食事をサポートしていくことが求められます。
参考文献
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000132167.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089299_00002.html
http://earthsupport.net/blog/meal/
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/index.html
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