高齢者のQOL向上と笑顔の関係

高齢者のQOL(Quality of Life)向上は、健康や幸福感の向上に繋がります。
最近の研究では、笑顔や笑いが高齢者のQOL向上に影響することがわかってきています。

今回は、高齢者のQOLと笑顔の関係について考えていきたいと思います。

笑顔がもたらす効果

笑顔は単なる表情の変化ではなく、心身にたくさんの良い影響をもたらします。

社会性向上
笑顔は周囲の人とのコミュニケーションを円滑にし、良好な人間関係を築く上で重要な役割を果たします。

例えば、ムスっとした顔で挨拶されるのと、笑顔で挨拶されるのでは受ける印象が変わりますよね?
人と関わる時には笑顔を見せることで、円滑なコミュニケーションを図ることができます。

ストレス軽減リラクゼーション効果
笑うことでストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑制され、リラックス効果が得られます。

免疫力向上
笑いは免疫細胞を活性化し、感染症に対する抵抗力を高める効果が期待できます。

痛みの軽減
笑いはエンドルフィンなどの神経伝達物質を分泌し、痛みを和らげる効果があります。

脳の活性化
笑うことは脳の様々な部位を刺激し、認知機能の維持や改善に繋がると考えられています。

笑顔と社会的つながり

高齢者が笑顔を見せることで周囲の人々との関係が深まり、社会的つながりが強化されます。
これにより、高齢者は孤独感を感じにくくなりQOLが向上します。

特に認知機能が低下してくると、ご自身の表情も乏しくなりますが、相手の表情を読み解く力も低下します。
そのため孤独感を感じることが増えるためQOLの低下に繋がりますが、
笑顔だけは最後まで正しく認識できるという研究結果が出ており、
笑顔は双方のコミュニケーションやストレスの緩和に大いに役立ち、心身ともに健やかに生活を送ることができます。

笑顔の促進方法

高齢者が笑顔を見せるためには、笑いのエンターテイメントや笑いのワークショップが有効です。
また、笑顔を見せることで得られるポジティブなフィードバックが、さらに笑顔を増やすことにつながります。

顔じゃんけん
 顔じゃんけんは、手で行うじゃんけんの「ぐー」「ちょき」「ぱー」に対応する表情を決めて行います。
顔の表情筋をたくさん動かす必要があり、『笑ったら勝ち』など楽しく行うことができます。

また、2人以上で行う必要があるので、お互いの表情を見ることで脳に様々な刺激を与えることができます。

笑いヨガ
笑いヨガは1995年インド人医師によって創案された、笑いの体操とヨガの呼吸法を組み合わせた方法です。
運動能力や経験に関係なく、車椅子生活の人でも障害を持った人でも問題なく行うことができます。

レクリエーション活動
歌や踊り、ゲームなど、楽しめるレクリエーション活動を取り入れることで、笑顔を引き出すことができます。

コミュニケーション
高齢者とのコミュニケーションを大切にし、共感的な態度で接することで、心の安定をもたらし、
笑顔を引き出すことができます。

結論

高齢者のQOL向上には、笑顔や笑いが重要な役割を果たします。
笑顔を通じて得られる健康効果や社会的つながりは、高齢者の生活の質を向上させるための有効な手段です。

笑いは高齢者はもとより、高齢者を見守るすべての人々にとっても元気をもたらしてくれます。

満面の笑みで大きな声を出して笑う機会が増える1年になりますように


参考文献・サイト

https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/warai-genki/warai-relaxationkouka.html
https://www.minamitohoku.or.jp/information/konnichiwa/201406/care.html
高齢者の精神健康における顔の運動効果について.pdf
健康における笑いの効果の文献学的考察.pdf
認知症予防を目的とした笑いの効果についての実践的研究.pdf
笑いと身体心理的健康・疾病との.pdf

この記事を書いた人

藤倉 健太のアバター 藤倉 健太 日本高齢者QOL学会 理事

・了德寺大学健康科学部整復医療トレーナー学科卒業
・柔道整復師/健康運動指導士/中学•高等学校教員免許
介護施設でのリハビリ(機能訓練)や体操指導を中心に、0〜106歳までの方々の健康を支えてきました。日本高齢者QOL学会の理事として、巷に溢れる健康情報を論文ベースにわかりやすく伝えていきます。

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