QOLを高める!認知症予防と軽度認知障害改善のための実践的アプローチ

「最近、少し物忘れが多くなったかも…」

「以前はすぐに思い出せたことが、なかなか出てこない…」

このように感じている高齢者の方や、そのご家族の方はいらっしゃいませんか?

加齢に伴い、認知機能が低下することは自然な現象の一つですが、

進行を緩やかにしたり、認知症の一歩手前の段階である軽度認知障害(MCI)

であれば改善の可能性も十分にあります!


認知機能の低下により、日常生活に支障が出てくると

生活の質(以下QOL)を低下させるだけでなく、

介護認定を受ける要因にもなっており

早期からの対策が非常に重要です!


この記事では、

認知症を予防する方法と

軽度認知障害を改善するための具体的なアプローチを

最新の研究や情報を交えながら解説します

1.認知機能低下がQOLに与える影響

認知機能の低下は、

記憶力、判断力、注意力、遂行機能(計画を立てて実行する能力)など、

様々な側面に影響を及ぼします

これにより、

日常生活を送る上で以下のような様々な困難が生じ、QOLの低下につながります

  • 日常生活動作(ADL・IADL)の低下
    食事の準備、買い物、着替え、入浴などが困難になる
  • 社会生活の制限:
    外出がおっくうになり閉じこもりがちになったり、
    人とのコミュニケーションが難しくなったりすることで、
    社会的な孤立を招く
  • 精神的な不安定
    不安、抑うつ、焦燥感などが生じやすくなる
  • 自己肯定感の低下
    以前できていたことができなくなることで、
    自信を失ってしまうことがある

認知症へと進行するリスクが高いとされる

軽度認知機能障害の段階で適切な対策を講じることは、

認知症の発症を遅らせ、QOLの低下を最小限に食い止める上で非常に重要です!

2.認知症予防のために今すぐできること【高齢者のQOL向上】

認知症を完全に予防することは難しいとされていますが、

生活習慣の改善や積極的な取り組みによって、

発症リスクを下げ、進行を遅らせることは可能です

ここからは

今日からできる認知症予防策をご紹介します

2-1. バランスの取れた食生活:脳の健康を支える栄養を

脳の健康維持には、バランスの取れた食事が不可欠です

特に以下の栄養素を意識して摂取しましょう!

  • 抗酸化物質:
    ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどは、
    脳の酸化ストレスを軽減する働きがあります

    緑黄色野菜、果物、ナッツ類、魚などに豊富に含まれています
  • DHA・EPA
    青魚に多く含まれるこれらの必須脂肪酸は、
    脳細胞の活性化や情報伝達の改善に役立ちます
  • ビタミンB群
    葉酸、ビタミンB12などは、神経細胞の機能維持に重要です!
    緑葉野菜、レバー、魚介類などに多く含まれます


一方で

高カロリー・高脂肪・高塩分の食事は、

生活習慣病のリスクを高め、

間接的に認知症のリスクを高める可能性があるため、注意が必要です!

2-2. 適度な運動習慣:全身の血流を促進し、脳を活性化!

適度な運動は全身の血流を促進し、

脳への酸素や栄養の供給を促します


また、

運動は脳の神経細胞の成長を促進するBDNF(脳由来神経栄養因子)

の分泌を促すこともわかっています

  • 有酸素運動:
    ウォーキング、ジョギング、水泳などは、心肺機能を高め、全身の血流を促進します
  • 筋力トレーニング
    筋力維持は、転倒予防につながり、活動的な生活を送る上で重要です
  • バランストレーニング
    バランス感覚を養うことで、転倒リスクを減らし、自信を持って活動できるようになります

ご自身の体力レベルに合わせて、無理のない範囲で継続することが大切です

2-3. 活発な知的活動:脳を刺激し、認知予備力を高める

脳を積極的に使うことは、認知機能の低下を遅らせるための重要な要素です

  • 学習:
    新しい言語を学んだり、趣味に関する知識を深めたりすることは、
    脳の様々な領域を活性化します
  • 読書
    小説や新聞を読むことは、理解力や記憶力を養います

    特にサスペンスやホラーなど、次の展開が楽しみなるような
    ハラハラドキドキする内容は脳に良い刺激になります
  • パズル・ゲーム
    クロスワードパズル、数独、将棋、囲碁などは、思考力や判断力を鍛えます
  • 創作活動
    絵を描いたり、楽器を演奏したり、料理をしたりすることも、脳の活性化につながります

2-4. 社会とのつながりを保つ:孤立を防ぎ、心の健康を維持

社会的な孤立は、認知機能の低下を早めるリスク因子の一つとされています

積極的に社会とのつながりを保ち、心の健康を維持することが大切です

  • 地域活動への参加:
    ボランティア活動や趣味のサークルなどに参加し、地域の人々との交流を深める
  • 友人や家族との交流
    定期的に友人や家族と連絡を取るなど、親しい人との交流を行う
  • オンラインコミュニティの活用
    インターネットを活用して、
    趣味の合う仲間と交流したり、情報交換をしたりするのも良いでしょう

2-5. 質の高い睡眠:脳の老廃物を排出し、記憶を定着

睡眠は日中の活動で疲労した脳を休ませ、

記憶を整理・定着させる重要な役割を担っています


質の高い睡眠を確保することは、認知機能の維持に不可欠です

  • 規則正しい睡眠時間:
    毎日同じ時間に寝起きするように心がけましょう
  • 寝室の環境整備
    寝室を暗く静かで快適な温度に保ちましょう
  • 就寝前のリラックス
    入浴、ストレッチ、読書など、リラックスできる習慣を取り入れましょう
  • カフェインやアルコールの制限
    就寝前のカフェインやアルコールの摂取は避けましょう

3.軽度認知障害(MCI)の改善に向けたアプローチ

軽度認知障害(MCI)は、

正常な認知機能と認知症の中間の段階であり、

適切な対策を講じることで、認知機能の改善や認知症への進行を遅らせることができます

3-1. 専門医による診断と評価:現状を正確に把握する

まずは専門医(神経内科医や精神科医など)を受診し、

詳細な認知機能検査や画像検査などを受け、正確な診断と評価を受けることが重要です


MCIの原因やタイプを特定することで、より適切な改善策を立てることができます

3-2. 認知リハビリテーション:認知機能の維持・向上を目指す

認知リハビリテーションは、

個々の認知機能の低下に合わせて、様々な課題や訓練を行うことで、

認知機能の維持・向上を目指すものです

  • 記憶訓練:
    思い出す練習、連想ゲーム、視覚的な記憶課題などを行います
  • 注意訓練
    間違い探し、計算問題、特定の情報に集中する練習などを行います
  • 言語訓練
    しりとり、言葉の連想ゲーム、文章構成などを行います
  • 実行機能訓練
    計画を立てる練習、順序立てて作業を行う練習などを行います

これらは専門家の指導のもと、継続的に取り組むことが大切です

3-3. 運動療法:身体活動を通して脳機能を活性化

MCIの改善においても、適度な運動は非常に有効です!


有酸素運動は脳の血流を改善し、

神経細胞の成長を促進する可能性があります

  • ウォーキング
    毎日30分程度のウォーキングを習慣にしましょう
  • 水中運動
    関節への負担が少なく、全身運動ができます
  • 園芸
    土いじりや植物の手入れは、適度な運動になるだけでなく、
    脳の活性化やリラックス効果も期待できます

3-4. 食事療法:脳に良い栄養を積極的に摂取

認知症予防と同様に、MCIの改善においても、

バランスの取れた食事が重要です!

特に、抗酸化物質やDHA・EPAを豊富に含む食品を積極的に摂取しましょう

また地中海食は、

認知機能の低下リスクを低減する可能性があるとされており、

野菜、果物、魚介類、オリーブオイルなどを中心とした食事が推奨されます

3-5. 社会参加と交流:孤立を防ぎ、脳に刺激を与える

社会的な活動への参加や他人との交流は、

脳に様々な刺激を与え、認知機能の維持・向上に役立ちます

  • 地域の活動への参加
    ボランティア活動、趣味のサークル、老人クラブなどに積極的に参加しましょう
  • 家族や友人とのコミュニケーション
    日常会話を楽しむだけでなく、昔の思い出を語り合ったり、
    一緒に料理をしたりするのも良いでしょう
  • 世代間交流
    若い世代との交流は、新しい刺激となり、脳の活性化につながります

4.まとめ:高齢者のQOL向上には、認知症予防とMCI改善への積極的な取り組みが重要

高齢者のQOLを高めるためには、

認知症を予防するための生活習慣の実践と、

軽度認知機能障害(MCI)と診断された場合には、

早期から適切な改善策に取り組むことが不可欠です。

バランスの取れた食事・適度な運動・活発な知的活動

社会とのつながり・質の高い睡眠といった生活習慣の改善は、

認知機能の維持・向上だけでなく、全身の健康維持にもつながります

もし、ご自身やご家族に認知機能の低下が気になる症状が見られた場合は、

ためらわずに専門医に相談し、適切なアドバイスやサポートを受けるようにしましょう

今日からできることから始め、

積極的に認知症予防とMCI改善に取り組み、

豊かな生活を送りましょう!

この記事を書いた人

藤倉 健太のアバター 藤倉 健太 日本高齢者QOL学会 理事

・了德寺大学健康科学部整復医療トレーナー学科卒業
・柔道整復師/健康運動指導士/中学•高等学校教員免許
介護施設でのリハビリ(機能訓練)や体操指導を中心に、0〜106歳までの方々の健康を支えてきました。日本高齢者QOL学会の理事として、巷に溢れる健康情報を論文ベースにわかりやすく伝えていきます。

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