寝不足になると、あなたの脳内で何が起きている?

「寝不足で頭がぼーっとする」
「なんだかイライラする」

たった一晩の寝不足でも、心身に
様々な影響が現れることを多くの人が経験しているでしょう。

実は、その裏側で、
あなたの脳内では驚くべき変化が起きています。

単なる「眠い」という感覚だけでなく、
感情のコントロールやホルモンバランスまで、
寝不足は私たちの脳の働きを大きく揺るがします。

このブログでは、
寝不足の時に脳内で何が起きているのか、
そのメカニズムを解説します。

なぜ感情的になりやすいのか、
なぜ集中力が低下するのか、
その理由を知ることで、
睡眠の重要性を再認識するきっかけになるでしょう。


1. 扁桃体(へんとうたい)の過剰な活動

寝不足の時に感情の起伏が激しくなったり、
イライラしやすくなったりするのは、
脳の扁桃体(へんとうたい)が過剰に活動するためです。

  • 扁桃体とは?
    脳の奥深くにある扁桃体は、
    感情の司令塔」と呼ばれ、
    不安、恐怖、怒りといった感情を司る
    重要な役割を担っています。

  • なぜ過剰に働くのか?
    通常、扁桃体の過剰な活動は、
    脳の理性的な部分である前頭前野によって
    抑制されています。

    しかし、
    寝不足になると、この前頭前野の働きが低下します。
    これにより、ブレーキが効かなくなり、
    扁桃体が暴走。

    些細なことでも感情的になったり、
    ネガティブな感情に支配されやすくなったりするのです。

2. ホルモンバランスの乱れ

寝不足は、
私たちの体をコントロールする
ホルモンバランスにも深刻な影響を与えます。

特に、
食欲やストレスに関連するホルモンに大きな変化が現れます。

  • コルチゾールの増加
    コルチゾールは、「ストレスホルモン」
    として知られ、通常は朝に分泌量が増え、
    夜にかけて減少します。

    しかし、寝不足が続くと、
    体がストレスを感じている状態と認識し、
    コルチゾールの分泌が過剰になります。

    これにより、不安感が高まったり、
    夜になってもなかなか寝つけなかったりする悪循環に陥ります。

  • 食欲を司るホルモンの乱れ
    食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌が減少し、
    食欲を増進させるホルモン「グレリン」の分泌が増加します。

    これが、
    寝不足の時に無性に甘いものや
    脂っこいものが食べたくなったり、
    食欲が増したりする主な原因です。

3. 6時間以下の睡眠は「二日酔い」と同じ状態

1日6時間未満の睡眠が2週間以上続くと、
2日間徹夜をしたのと同じくらい
脳のパフォーマンスが著しく低下することが
研究で明らかになっています。

この状態は、
日本酒を1~2合飲んだ時の
酔っ払い状態に相当します。

この状態では
集中力や判断能力が著しく低下し
仕事や運転におけるミスを引き起こすリスクが高まります。

4. 脳機能全体の低下

寝不足は、特定の部位だけでなく、
脳全体の機能を低下させます。

  • 集中力・記憶力の低下
    日中に得た情報を整理し、
    記憶として定着させるのは睡眠中の役割です。

    寝不足になると、
    このプロセスが阻害され、
    集中力や記憶力が低下します。

  • 判断力・思考力の鈍化
    寝不足の脳は、複雑な問題を解決したり、
    論理的に物事を考えたりする能力が低下します。

    これにより、
    仕事や勉強の効率が著しく下がります。

まとめ

寝不足の時に
「なんだか心が不安定だな」
「つい食べ過ぎてしまうな」
と感じるのは、
あなたの意志が弱いからではありません。

それは、
脳内で起きている扁桃体の暴走や、
ホルモンバランスの乱れといった、
科学的な理由があったのです。

寝不足は、単なる肉体的な疲労だけでなく、
私たちの感情や思考、
さらには健康全体に悪影響を及ぼします。

質の良い睡眠を確保することが、
健康的で豊かな毎日を送るための鍵なのです。

この記事を書いた人

藤倉 健太のアバター 藤倉 健太 日本高齢者QOL学会 理事

・了德寺大学健康科学部整復医療トレーナー学科卒業
・柔道整復師/健康運動指導士/中学•高等学校教員免許
介護施設でのリハビリ(機能訓練)や体操指導を中心に、0〜106歳までの方々の健康を支えてきました。日本高齢者QOL学会の理事として、巷に溢れる健康情報を論文ベースにわかりやすく伝えていきます。

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