【自己防衛】介護職員が利用者様の対応で感情的になりそうになった時のクールダウン方法5選

「何度声をかけても拒否される」
「理不尽な言葉を浴びせられた」
「自分の気持ちを理解してもらえない」

認知症の利用者様への対応が続き、
心が折れそうになったり、
思わず感情的になってしまいそうになることは
ありませんか?

それは、
あなたが真剣にケアに取り組んでいる証拠です。

介護の現場では、
自分の感情をコントロールすることも、
利用者様をケアするのと同じくらい大切な仕事です。

今回は、
感情的になりそうになった時、
その場ですぐに試せるクールダウンの方法を
5つご紹介します。


目次

1. 感情的にツラくなる要因は?

感情的になる主な要因

  • 慢性的なストレスと疲労
    睡眠不足や肉体的な疲労が
    感情のコントロールを難しくしています。
  • 自尊心の低下
    繰り返し拒否されたり怒鳴られたりすることで、
    自尊心が低下してしまう。
  • 共感疲労
    利用者様の不安や苦痛に共感しすぎることで、
    自分の心が疲弊してしまう。

大切なのは、
「感情的になる自分はダメだ」と責めるのではなく、
「この状況が私を辛くさせている」と
状況に原因があると認識することです。


2. すぐに使えるクールダウン法5選

実例1:物理的に「一歩下がる」と呼吸法

感情を揺さぶられた時は、
まず物理的に利用者様から離れることが、
効果的です。

  1. 一歩下がる
    介助の手を止め、
    物理的に一歩後ろに下がりましょう

    この一歩が、
    自分と利用者様の間に心の距離を作り、
    冷静さを取り戻すきっかけになります。
  2. 3秒深呼吸
    鼻から3秒かけて息を吸い込み、
    口から6秒かけてゆっくりと吐き出します。

    これを3回繰り返すだけで、
    自律神経が整い、すぐに心拍数が落ち着きます。
  3. 言い訳で中断
    介助を中断したい時は、
    「すみません、少し水を飲んできますね
    記録を確認してきます」など、
    自然な口実でその場を短時間離れましょう。

実例2:認知の切り替え(原因の特定)

目の前の拒否や暴言は、
あなた個人への攻撃ではない」と
再認識することが、心を落ち着かせる鍵です。

  1. 「感情」と「事態」を分ける
    相手の行動は認知症や疾患、身体的な痛みによる
    症状』であると割り切りましょう

    「これは利用者様の病気が話している」
    と心の中で言葉にすることで、
    自分へのダメージを軽減します。
  2. 30秒ルールの
    興奮のピークが去るのを待ちます。

    「あと30秒待ってみよう」と区切りをつけ、
    その間は無理に話さず沈黙を保ち、
    解決を急がないようにします。
  3. 真のニーズを推測
    怒鳴りの裏には「不安」「痛み」「恐怖」が
    隠れています。

    「なぜ怒っているのだろう?」ではなく、
    今、何に困っているのだろう?」と
    考えてみましょう。

実例3:感覚を使ったマインドフルネス

心がパニックに陥りそうになった時、
五感を使って「今、この瞬間」に
意識を集中させ、思考を止める方法です。

  1. 手の感覚に集中
    自分の手のひらをぎゅっと握ったり、
    服の素材や自分の足が床に触れている
    感触に意識を集中させます。

  2. 次の行動に集中
    ドアノブを握る、ボタンを押すなど、
    次に取る具体的な動作に意識を集中させます。
  3. 色を探す
    青いものを3つ探すなど、
    感情とは無関係な対象に意識を向けることで、
    客観的な視点を取り戻します。

実例4:記録と共有による感情の解放

感情を内に溜め込まず、
安全な形で吐き出すことで、
精神的な負担を軽減します。

  1. 感情の「命名」
    心の中で
    「私は今、無力感を感じている」
    「これは悲しい気持ちだ」と、
    自分の感情に名前をつけましょう。

    感情を客観視することで、
    コントロールしやすくなります。
  2. 短い記録(メモ)
    休憩中や記録時に、
    「〇〇様対応、イライラMAX
    悲しかった」などと
    簡潔に書き出すことで、感情を外に出します。
  3. 信頼できる同僚への共有
    休憩時間などに、
    「実はさっき、少しツラくて」と
    信頼できる同僚に短時間で吐き出すことで、
    共感を得て心のガス抜きをしましょう。

実例5:非言語的コミュニケーションの再構築

自分が感情的になっている時、
利用者様もまた、
あなたの表情や声のトーンから不安を感じ取っています。

  1. 優しい表情の意識
    トイレや鏡で自分の表情を確認し、
    意識的に眉間のシワを緩め
    口角を少しだけ上げます

    穏やかな表情は、利用者様だけでなく、
    自分自身の心にも安心感を与えます。
  2. 低い声トーン
    感情が昂ると、声のトーンが高くなりがちです。

    意識的にゆっくりと低いトーンで話すことで、
    利用者様にも落ち着きを、
    自分自身にも冷静さを取り戻させます。
  3. 触れる位置の確認
    介助で身体に触れる際は、
    相手が驚かないよう、
    手の甲など敏感でない場所
    ゆっくりと触れることから始めましょう。

3. まとめ:自分を守ることが、質の高いケアに繋がる

介護職にとって、
自分の感情をコントロールし、
メンタルヘルスを守ることは、
利用者様の安全と質の高いケアに直結します。

ツラい時は一歩下がり、
深呼吸をし、感情に名前をつけ、同僚に頼る

このシンプルな行動が、
あなたを守る鍵となります。


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この記事を書いた人

藤倉 健太のアバター 藤倉 健太 日本高齢者QOL学会 理事

・了德寺大学健康科学部整復医療トレーナー学科卒業
・柔道整復師/健康運動指導士/中学•高等学校教員免許
介護施設でのリハビリ(機能訓練)や体操指導を中心に、0〜106歳までの方々の健康を支えてきました。日本高齢者QOL学会の理事として、巷に溢れる健康情報を論文ベースにわかりやすく伝えていきます。

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