休みがちな利用者様への効果的な声掛け実例5選

デイサービスなどを利用しているにも関わらず、
「なんとなく気が進まない」
「体調が優れない気がする」
といった理由で
休みがちになってしまう利用者様はいませんか?

利用を控える日が続くと、
身体機能の低下や認知機能の悪化、
社会との接点の喪失など、
様々な負の連鎖が始まってしまいます。

しかし、
強引に「来てください」と促すだけでは、
かえって反発を招きかねません。

今回は、
利用者様の不安や現状の気持ちに
寄り添いながら
「また行ってみようかな」と
前向きな気持ちを引き出すための、
効果的な声かけの実例を5つご紹介します。


目次

1. 休みがちな利用者様の心理的背景

休みがちな利用者様は、
『行きたくない』というよりも、
『行けない理由』を抱えているケースも
多くあります。

  • 不安や緊張
    新しい環境への適応不安、
    他の利用者との人間関係への緊張感。
  • 体調への過度な心配
    「少しだるい」を
    「体調が悪い」と過度に捉えてしまう。
  • 役割
    自宅でやるべきことがある
    と感じている。

声かけをする際は、
これらの『行けない理由』を否定せず、
受け止める姿勢が重要です。


2. 利用再開を促す効果的な声かけ実例5選

実例1:「短時間利用」を提案する声かけ(心理的ハードルを下げる)

「一日中いなければならない」
という思い込みが、
利用者様の大きな負担になっていること
があります。

まずは「短時間でOK」という
逃げ道を用意し、
利用のハードルを下げましょう。

声かけのポイント実例期待される効果
具体的な時間「今日は調子が完璧ではないのですね。
お昼ごはんを食べて、少しリハビリをしたらすぐにお帰りになっても大丈夫ですよ
「少しだけなら頑張れる」という意欲を引き出し、来所させることに成功すれば、その後そのまま一日過ごせる可能性も高まる。
否定しない「無理しなくていいですよ。〇〇様が来てくれると、他の皆さんが楽しみにしているんです。顔だけ見せてくれませんか?」利用者様の心配を受け止めつつ、「必要とされている」という承認欲求を満たす

実例2:「目標」や「役割」を与える声かけ(主体性の回復)

ただ休むのではなく、
「あなたには役割がある」と伝えることで、
利用の意義を高めます。

特に認知症の方には、
具体的な役割を与えることが有効です。

声かけのポイント実例期待される効果
具体的な役割次に来た時、一緒に育てているあの花に水をやってくれませんか? 〇〇様がいないと枯れてしまうので、お願いします」「やらなければならないこと」を作ることで、休むことへの罪悪感を減らし、利用へのモチベーションを高める。
目標の設定「前回はあの歩行器で10メートル歩けましたね。来週は15メートルを目指してみませんか?その訓練の予約、取っておきますね利用を訓練と位置づけ、具体的な目標を持たせることで、主体的な参加を促す。

実例3:「具体的な楽しさ」を伝える声かけ(期待感の創出)

「楽しいですよ」という
抽象的な声かけではなく、
休んでいた日にあった具体的なイベント
共有し、損をしていると思わせることが重要です。

声かけのポイント実例期待される効果
具体的な出来事昨日、〇〇様が大好きなお饅頭が出たんです。みなさん、『美味しいね』って盛り上がっていましたよ。」
「今日は新作の塗り絵が入りました!」
具体的な情報を提供することで、行けば何か良いことがあるという期待感を持たせる。
特別な活動「来週のレクリエーションで、〇〇様の得意なトランプを教えてほしいとみんなが言っています。ぜひ、教えに来てください!」得意なことを活かせる機会を提供し、自尊心を刺激する。

実例4:「傾聴と共感」による不安解消の声かけ(感情の尊重)

休んでいる利用者様は、
体調や不安を誰かに聞いてもらいたいと
思っています。

まずはしっかりと話を聞き、
不安の原因を特定しましょう。

声かけのポイント実例期待される効果
共感と傾聴「そうですか、だるい気持ち、よく分かります。眠れない日が続くと辛いですよね。どんな時が一番しんどいか、少し聞かせてもらえませんか?感情を受け止められたことで心が開き、休む本当の理由(例:夜間の痛み、特定の利用者とのトラブルなど)を話してくれる。
解決策の提示「分かりました。では、利用中に少し静かな場所でお昼寝できるように、私の方で準備しておきますね」不安要素に対して具体的な解決策を提示することで、安心感を与える。

実例5:「次回のリスク」を伝える声かけ(危機意識の共有)

休むことのデメリットを、
穏やかかつ客観的に伝えます。

ただし、
責めるような口調は厳禁です。

声かけのポイント実例期待される効果
客観的な事実「〇〇様が二日休むと、歩く力が元に戻るのに一週間かかってしまうとリハビリの先生が心配していました。せっかく頑張ったリハビリを無駄にするのはもったいないですよ」専門職(リハビリ職など)の意見として客観的な事実を伝えることで、聞き入れてもらいやすくする。
未来の利益少しずつでも来ていれば、また旅行に行けるくらい足腰が強くなりますよ。また桜を見に行きましょう!」利用者様が望む未来のために「今」利用することが必要だと結びつける。

3. まとめ:安心感と役割が利用を促す

休みがちな利用者様への声かけは、
責めず、寄り添い、
具体的なメリットを提示する

ことがポイントです。

利用者様が
ここに来ると、自分の役割があり、
安心していられる
」と感じられるように、
一つひとつ不安を取り除き、
主体的な利用を促していきましょう。


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この記事を書いた人

藤倉 健太のアバター 藤倉 健太 日本高齢者QOL学会 理事

・了德寺大学健康科学部整復医療トレーナー学科卒業
・柔道整復師/健康運動指導士/中学•高等学校教員免許
介護施設でのリハビリ(機能訓練)や体操指導を中心に、0〜106歳までの方々の健康を支えてきました。日本高齢者QOL学会の理事として、巷に溢れる健康情報を論文ベースにわかりやすく伝えていきます。

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