高齢者の熱中症の特徴と予防策

今年も猛暑が続いていますね。
毎年耳にする「熱中症」のニュースですが、
特に注意が必要なのが高齢者です。
実は、高齢者の熱中症には、
若い世代とは異なる特徴があり、
そのサインが見過ごされがちで、
気づいた時には重症化しているケースも少なくありません。
このブログでは、
高齢者が熱中症になりやすい理由から、
特徴的な症状、そして命を守るための具体的な予防法まで、
あなたの親や大切な高齢者を守るために知っておくべきポイントを
詳しく解説します。
今年の夏は、
正しい知識で熱中症から高齢者を守りましょう!
1. なぜ高齢者は熱中症になりやすいのか? 体の変化と環境要因
高齢者が熱中症のリスクが高いのは、
加齢に伴う身体機能の変化と、
生活環境における要因が複雑に絡み合っているためです。
- 体内の水分量が少ない
- 人間の体は加齢とともに筋肉量が減り、
体内の水分を蓄える機能が低下します。
乳幼児の体は約80%が水分であるのに対し、
高齢者は50%程度まで減少すると言われています。
体内の水分が少ないということは、
脱水状態になりやすく、
体温調節が難しくなってしまいます。
- 人間の体は加齢とともに筋肉量が減り、
- 喉の渇きを感じにくい(口渇感の低下)
- 加齢に伴い、喉の渇きを感じる感覚が鈍くなります。
そのため、
体が脱水状態になっても、
「喉が渇いたから水を飲もう」という信号が脳に伝わりにくく、
自覚がないまま水分不足に陥りがちです。
- 加齢に伴い、喉の渇きを感じる感覚が鈍くなります。
- 体温調節機能の低下
- 汗腺の機能が低下し、汗をかきにくくなります。
汗は体温を下げる重要な役割を担っているため、
汗をかきにくいと体内に熱がこもりやすくなります。
また、
皮膚の温度を感じるセンサーが鈍くなるため、
室温が高くても暑さを感じにくいことがあります。
- 汗腺の機能が低下し、汗をかきにくくなります。
- 外出の機会の減少と生活環境
- 自宅で過ごす時間が増える高齢者は、
外気温の変化に気づきにくかったり、
節約意識からエアコンの使用を控えてしまったりすることがあります。
また、
一人暮らしの場合、
体調の変化に気づいてくれる人が近くにいないこともリスクを高めます。
- 自宅で過ごす時間が増える高齢者は、
- 持病や服薬の影響
- 高血圧、心臓病、糖尿病などの持病がある場合や、
利尿作用のある薬など特定の薬を服用している場合、
脱水や体温調節機能に影響を与えることがあります。
- 高血圧、心臓病、糖尿病などの持病がある場合や、
2. 高齢者の熱中症、見過ごされがちな特徴とサイン
高齢者の熱中症は、
若い世代のようにめまいや頭痛、吐き気といった
はっきりとした症状が出にくいことがあります。
気づいた時には意識障害を起こしているなど、
重症化しているケースも少なくありません。
- 「いつものこと」と見過ごしがち
- 普段から体調が優れないことが多い高齢者の場合、
「なんとなく元気がない」「食欲がない」「ボーっとしている」
といった症状が、
熱中症のサインであるにもかかわらず、
見過ごされてしまうことがあります。
- 普段から体調が優れないことが多い高齢者の場合、
- 発熱しないこともある
- 熱中症というと高熱をイメージしますが、
高齢者の場合、体温調節機能の低下により、
体内に熱がこもっていても、
必ずしも高熱が出るとは限りません。
微熱程度でも、注意が必要です。
- 熱中症というと高熱をイメージしますが、
- 食欲不振、だるさ、元気がない
- 最もよく見られる初期症状です。
食事が進まない、全身がだるい、
一日中横になっている、表情が乏しい、
などの様子が見られたら、熱中症を疑いましょう。
- 最もよく見られる初期症状です。
- 手足がつる(こむら返り)
- 体内の水分や塩分が失われることで、
筋肉のけいれんが起こりやすくなります。
特に、
足のふくらはぎがつる「こむら返り」は、
熱中症のサインの一つです。
- 体内の水分や塩分が失われることで、
- 尿量の減少、意識の変化
- 脱水が進むと尿量が減り、皮膚や唇が乾燥します。
さらに進行すると、
意識がぼんやりする、呼びかけへの反応が鈍い、
言動がおかしい、などの意識障害を起こすことがあります。
これは非常に危険なサインで、
すぐに医療機関を受診する必要があります。
- 脱水が進むと尿量が減り、皮膚や唇が乾燥します。
3. 高齢者を熱中症から守る!命を守るための具体的な予防法
高齢者の熱中症は、
事前の対策で十分に防ぐことができます。
以下の予防法を徹底しましょう。
3-1. 環境対策:室内を快適に保つ
- エアコンや扇風機の活用
- 我慢せず、積極的にエアコンや扇風機を使用しましょう。
室温の目安は28℃以下、
湿度は70%以下が推奨されています。
扇風機を併用することで、冷気が循環しやすくなります。 - 注意点
エアコンの風が直接体に当たると冷えすぎる場合があるので、
風向きや風量を調整したり、薄手の毛布などで調整しましょう。
- 我慢せず、積極的にエアコンや扇風機を使用しましょう。
- 日中の外出を避ける
- 気温が高い時間帯(10時~14時頃)の外出は避け、
涼しい時間帯に用事を済ませるようにしましょう。
- 気温が高い時間帯(10時~14時頃)の外出は避け、
- 遮光カーテンやすだれを活用
- 窓から差し込む日差しを防ぎ、室温の上昇を抑えます。
- 窓から差し込む日差しを防ぎ、室温の上昇を抑えます。
- 服装の工夫
- 吸湿性や速乾性に優れた素材(綿、麻など)の、
ゆったりとした服装を選びましょう。
首元を締め付けず、風通しの良いものがおすすめです。
- 吸湿性や速乾性に優れた素材(綿、麻など)の、
3-2. 体調管理と水分・塩分補給
- こまめな水分補給
- 喉が渇いていなくても、
時間を決めて(例:1時間おきにコップ1杯)水分を補給しましょう。
就寝前や起床時、入浴前後にも水分を摂る習慣をつけさせましょう。 - 何を飲むか
水やお茶だけでなく、
スポーツドリンクや経口補水液など、
塩分や糖分も補給できるものが効果的です。
特に食欲が落ちている場合は、
スープや味噌汁からも水分・塩分を補給できます。 - 注意点:
アルコールは利尿作用があるため、
水分補給には適していません。
- 喉が渇いていなくても、
- 塩分・ミネラル補給:
- 汗をかくと水分だけでなく塩分も失われます。
スポーツドリンクの他、梅干し、塩飴、
漬物などで意識的に塩分を摂るようにしましょう。
- 汗をかくと水分だけでなく塩分も失われます。
- 食事をしっかりと摂る
- 食欲がないと水分も摂りにくくなります。
消化の良いものや、
水分を多く含む食べ物(野菜、果物など)
を工夫して摂りましょう。
冷たい麺類やゼリーなどもおすすめです。 - 注意点
冷たいものの食べ過ぎには注意しましょう
- 食欲がないと水分も摂りにくくなります。
- 規則正しい生活と十分な睡眠
- 体力を消耗しないよう、
規則正しい生活を送り、
十分な睡眠をとることも重要です。
- 体力を消耗しないよう、
3-3. 周囲の見守りと声かけ
- 定期的な声かけと訪問
- 一人暮らしの高齢者の場合、
周囲の人が定期的に電話をしたり、訪問したりして、
体調や室温を確認することが非常に重要です。
離れて暮らす家族は、近所に住む知人や友人、
地域の民生委員などに協力を依頼することも検討しましょう。
- 一人暮らしの高齢者の場合、
- 体調の変化に気づく
- 「なんだか元気がないな」
「いつもと様子が違うな」と感じたら、
それは熱中症のサインかもしれません。
安易に「大丈夫」と判断せず、
室温や水分補給の状況を確認し、
必要に応じて医療機関を受診させましょう。
- 「なんだか元気がないな」
- SOSサインの見分け方
- 高齢者が自分で熱中症だと認識できない場合があるため、
家族や周囲の人が上記で述べた熱中症の特徴的なサイン
(食欲不振、だるさ、尿量減少、意識の変化など)
を見逃さないようにしましょう。
- 高齢者が自分で熱中症だと認識できない場合があるため、
4. もし熱中症の症状が見られたら:応急処置の基本
高齢者に熱中症の症状が見られたら、
すぐに以下の応急処置を行い、
状況に応じて医療機関を受診してください。
- 涼しい場所へ移動
エアコンの効いた部屋や風通しの良い日陰に移動させましょう。 - 体を冷やす
衣服をゆるめ、体から熱を逃がします。
首筋、脇の下、足の付け根など、
太い血管が通っている場所を冷たいタオルや氷嚢で冷やしましょう。 - 水分・塩分補給:
意識がはっきりしていれば、
スポーツドリンクや経口補水液を少量ずつ飲ませましょう。 - 医療機関への受診
- 意識がはっきりしない、自分で水分が摂れない、
痙攣がある、体温が異常に高い(40℃以上など)、
などの場合は、すぐに救急車を呼びましょう。 - 症状が軽くても、だるさや吐き気が続く場合は、
医療機関を受診させましょう。
- 意識がはっきりしない、自分で水分が摂れない、
まとめ:高齢者の熱中症は「知る」ことから始まる
高齢者の熱中症は、
その特徴を知り、事前に予防策を講じることで、
多くの場合防ぐことができます。
重要なのは、「自分は大丈夫」という過信をせず、
加齢による体の変化を理解することです。
家族や周囲の人は、
高齢者の微妙な体調変化に気づき、
積極的に声かけやサポートを行うことが、
命を守る上で非常に重要です。
今年の夏も、
正しい知識と行動で、大切な高齢者を熱中症から守り、
安全で健やかな日々を過ごしましょう!
COMMENT