認知症と高次脳機能障害の違いと特徴を理解

認知症」と「高次脳機能障害」は、
どちらも記憶力や思考力に影響を及ぼす病気ですが、
その原因や特徴は大きく異なります。

これらの違いを正しく理解することは、
適切な診断とケアを受ける上で非常に重要です。

このブログでは、
認知症高次脳機能障害の主な違いと、
それぞれの特徴について分かりやすく解説します。


1. 認知症と高次脳機能障害の主な違い

項目認知症高次脳機能障害
主な原因脳の病気(アルツハイマー病、脳血管障害など)脳への外傷や病気(交通事故、脳卒中など)
発症の仕方ゆっくりと徐々に進行することが多い突然発症することが多い
症状の特徴進行性であり、症状は悪化していく症状は一定の回復が見られることがある
治療・予後根本的な治療は困難。進行を遅らせる対症療法が中心リハビリテーションにより症状の改善が期待できる

2. 認知症の特徴

認知症は、
さまざまな病気によって、
脳の神経細胞が徐々に死滅していくことで発症します。

そのため、
症状は進行性で、
一度失われた機能が回復することは基本的にありません。

主な症状

  • 進行性の記憶障害
    特に、
    最近の出来事を忘れてしまう短期記憶の障害から始まり、
    徐々に進行します。

  • 見当識障害
    時間や場所、人物が分からなくなる症状です。

  • 実行機能障害
    物事の計画を立てたり、
    順序立てて行ったりすることが困難になります。

認知症の多くは、
根本的な治療法がなく、
進行を遅らせるための薬物療法や、
残された機能を活かす非薬物療法が中心となります。


3. 高次脳機能障害の特徴

高次脳機能障害は、
脳の外傷(頭部を強く打つなど)や、
脳卒中といった病気によって、
脳の一部が損傷を受けることで発症します。

主な症状

  • 注意障害
    一つのことに集中し続けたり、
    複数のことを同時に行ったりすることが困難になります。

  • 記憶障害
    新しいことを覚えられなくなったり、
    過去の記憶を失ったりすることがあります。

  • 遂行機能障害
    目標を立て、
    計画を実行することが困難になります。

  • 社会的行動障害
    感情のコントロールが難しくなったり、
    場の空気を読めなくなったりすることがあります。

高次脳機能障害の症状は、
リハビリテーションによって
ある程度の改善が期待できるのが大きな特徴です。

特に発症後の早い段階で適切なリハビリを行うことが重要です。


4. 診断とケアの重要性

認知症高次脳機能障害は、
症状が似ているため、
専門医による正確な診断が必要です。

高次脳機能障害の場合、
適切なリハビリを行えば社会復帰も期待できますが、
認知症と誤診されると、
適切なケアが受けられない可能性があります。

ご本人やご家族が異変に気づいた際には、
一人で抱え込まず、
神経内科や精神科などの専門医に相談することが大切です。


まとめ

認知症高次脳機能障害は、
どちらも脳の機能に影響を及ぼしますが、
進行性」か「リハビリによる改善が見込めるか
という点で大きな違いがあります。

これらの違いを理解することで、
ご本人に寄り添った適切なケアを選択し、
より良い未来を築くことができるでしょう。

この記事を書いた人

藤倉 健太のアバター 藤倉 健太 日本高齢者QOL学会 理事

・了德寺大学健康科学部整復医療トレーナー学科卒業
・柔道整復師/健康運動指導士/中学•高等学校教員免許
介護施設でのリハビリ(機能訓練)や体操指導を中心に、0〜106歳までの方々の健康を支えてきました。日本高齢者QOL学会の理事として、巷に溢れる健康情報を論文ベースにわかりやすく伝えていきます。

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