高齢者のQOL向上と読書の関係

はじめに
人生100年時代と言われる現代において、高齢者のQOL(Quality of Life:生活の質)向上は重要な課題です。
QOLは、身体的、精神的、社会的な側面を含み、幸福感や満足度を高めることを目指します。
今回は、『読書』に焦点を当てて、
高齢者のQOL向上に影響するのかどうか、考えていきたいと思います。
読書が高齢者のQOLに与える影響
1. 認知機能の維持・向上
読書は
脳の様々な領域を活性化させ、認知機能の維持・向上に役立つことが研究により示されています。
- 認知機能低下を抑制
脳は毎日同じことを繰り返していると、徐々に認知機能が衰えやすくなります。
読書は、それぞれストーリーや内容が異なりますし、情景をイメージしたり、
関係性を考えたりと、脳の認知機能に関わる部分をフル活用します。
これは、テレビなどでは得られない読書の大きな効果の1つです。 - 抑うつ症状にも効果的
読書は、ストレス軽減や気分の高揚など、
精神的な健康にも良い影響を与えることが知られています。
脳には不安・悲しみ・怒り・喜びなど感情や運動・聴覚・視覚などの感覚を司る部分が
それぞれにあります。(脳の場所によって、得意分野が違うのです)
読書をすると、不安などを感じる部分とは全く違う場所が働きます。
そのため、不安など抑うつ症状に関連する部分の活動が低下するのです。
その結果、読書に没頭することによってリラックス効果が得られるというわけです。
本当に調子の悪い時は、字を読むことも難しいと思いますが、
読める程度の体調の時に、読書は強い味方になってくれます。
2. 社会とのつながりの維持・促進
本を手に入れるために
書店や図書館に行くことによって、社会とのつながりを維持・促進することができます。
読書によって新しい知識を身につけ、その知識を共有したり、
おすすめの本を紹介し合ったり、
読書という共通の趣味を持っていると感じることによって
より社会との繋がりを実感することができます。
3. 寿命の向上
アメリカのイエール大学の研究によると、
「読書をする人」と「読書をしない人」に分けて生存率が8割に低下するまでの期間を比較すると、
「読書する人」は調査開始から108か月だったのに対し、「読書しない人」は85か月でした。
その差は23か月。約2年です!
また、
週に3.5時間以上本を読む人は読まない人に比べ、調査開始から12年後の死亡率が23%低いことも分かりました。
読書の効果は、寿命にまで影響すると話題になりました。
介護予防における読書の活用
読書は、高齢者の介護予防にも役立つ可能性があります。
認知機能の維持・向上は、認知症予防につながり、精神的な健康の維持は、うつ病予防にもつながります。
また、読書を通じて社会とのつながりを維持することは、孤立を防ぎ、介護予防にもつながります。
まとめ
読書は、高齢者のQOL向上に多岐にわたる良い影響を与えることが、研究により示されています。
認知機能の維持・向上、精神的な健康の維持・向上、社会とのつながりの維持・促進、
生きがいや寿命の向上など、その効果は多岐にわたります。
読書は、高齢者のQOL向上に貢献するだけでなく、介護予防にも役立つ可能性を秘めています。
ちなみに、読書の内容は新聞でも小説でも実用書でも絵本でも
効果があります!
ただし、タブレットやパソコンなどの電子書籍よりも
紙の本で読んだときの方が脳の血流量が増加するとの研究もあるので、
紙の本を読むことをオススメします。
ぜひ、少しでもいいので読書を始めてみてはいかかでしょうか
参考文献・サイト
https://www.jages.net/project/industry-government/opera/?action=common_download_main&upload_id=10922

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