高齢者のQOLと手段的日常生活動作(IADL)

はじめに
人生100年時代と言われる現代において、
高齢者が健康でQuality of Life(QOL:生活の質)を高く維持することは重要な課題です。
QOLを維持するためには、身体的な健康だけでなく、精神的な健康や社会とのつながりも重要です。
その中でも、手段的日常生活動作(IADL:Instrumental Activities of Daily Living)は、
高齢者のQOLに大きく影響する要素の一つです。
手段的日常生活動作とは
手段的生活動作能力とは、日常生活を送る上で必要な、より複雑な動作のことです。
具体的には、
買い物、料理、洗濯、掃除、公共交通機関の利用、金銭管理、服薬管理、電話対応などが挙げられます。
これらの能力は、高齢者が自立した生活を送る上で不可欠なものです。
似ている言葉に日常生活動作(ADL)と言うものがあります。
ADLは、食べる、立つ座る、歩く、着替える、お風呂に入る、排泄をするなどの
日常生活を送る上での基本的な動作のことを示します。
手段的日常生活動作の低下がQOLに与える影響
手段的日常生活動作能力が低下すると、高齢者は日常生活を送る上で様々な困難に直面します。
例えば、
買い物に行けなくなったり、料理を作れなくなったりすることで、
食生活が偏ったり、栄養不足になったりする可能性があります。
また、
公共交通機関を利用できなくなると、外出の機会が減り、社会とのつながりが希薄になることもあります。
さらに、
手段的日常生活動作能力の低下は、高齢者の心理面にも影響を与えます。
自分自身でできることが減ることで、自信を失ったり、無力感を感じたりすることがあります。
他にも、
周囲に頼ることが増えることで、負担をかけていると感じ、孤立感を深めることもあります。
手段的日常生活動作能力を維持・向上させるための介護予防
手段的生活動作能力の低下は、加齢とともに自然に起こるものではありません。
適切な介護予防を行うことで、その低下を遅らせたり、改善したりすることができます。
1. 運動習慣の維持
適度な運動は、身体機能の維持・向上に役立ちます。
ウォーキングやラジオ体操など、無理のない範囲で継続できる運動を取り入れましょう。
2. バランスの取れた食事
栄養バランスの偏った食事は、身体機能の低下を招きます。
バランスの取れた食事を心がけ、必要な栄養素をしっかりと摂取しましょう。
3. 脳トレ
脳の活性化は、認知機能の維持に役立ちます。
パズルやゲーム、読書など、楽しみながらできる脳トレを取り入れましょう。
4. 社会参加
社会とのつながりを維持することは、精神的な健康を保つ上で重要です。
地域活動や趣味のサークルなどに積極的に参加しましょう。
5. 専門家によるサポート
理学療法士や作業療法士などの専門家は、
個々の状態に合わせた運動やリハビリテーション、生活指導を提供してくれます。
他にも、
地域包括支援センターやケアマネジャーなどの専門家は、
必要に応じた介護相談や、サークルなど社会資源の情報提供をしてくれます。
必要に応じて、専門家のサポートを受けることも大切です。
手段的日常生活動作能力とQOLの関係
手段的生活動作能力は、高齢者のQOLを維持する上で非常に重要な要素です。
手段的生活動作能力を維持・向上させることは、高齢者が自立した生活を送る上で不可欠であり、
ひいてはQOLの向上にもつながります。
とある研究では、
要介護認定を受ける状態になる要因として
手段的日常生活動作能力の低下が挙げられています。
手段的日常生活動作能力を維持することで、
QOLを維持することができ、介護予防にも繋がります。
まとめ
高齢者がQOLを高く維持するためには、手段的生活動作能力の維持・向上が重要です。
そのためには、
運動習慣やバランスの取れた食事を心がけたり、
社会参加などの交流の機会を作ること、
そして、趣味や楽しみを持ちながら生活することで心身ともに健康な状態を保つことができます。
このように手段的日常生活動作能力を維持・向上させることによって、
QOLの維持や介護予防に繋げることができます。
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