アートが高齢者のQOLを高める可能性!

「絵を描くなんて、私には無理」

「美術館は敷居が高い」

そう思っていませんか?

しかし、
絵画、音楽、工芸、ダンスなど、様々な形のアートは、
高齢者の皆さんのQOL(Quality of Life:生活の質)を
飛躍的に高める可能性を秘めています

単なる趣味の域を超え、心と体の健康、
そして社会とのつながりにも深く貢献するアートの力に、
今、注目が集まっています!

このブログでは、
アート高齢者QOLにどのような良い影響をもたらすのか、
そして具体的な取り組み方や、
それを支援する側が知っておくべきポイントについて詳しく解説します


1. なぜ今、高齢者とアートが注目されるのか?

超高齢社会を迎える日本において、
高齢者の皆さんがいかに健康的で充実した人生を送るかが
重要なテーマとなっています

これまでの介護予防は身体機能の維持が中心でしたが、
近年では、心の健康や社会とのつながりといった側面も
QOLを左右する上で不可欠だと認識されるようになりました

そこで注目されているのがアートの力です

特別な才能や経験がなくても、
誰もが楽しめる形でアートに触れることで、
脳が活性化され、感情が豊かになり、
新たなつながりが生まれることが多くの研究で示されています


2. アートが高齢者のQOLにもたらす具体的な効果

アート高齢者QOLに与える影響は多岐にわたります

2-1. 脳の活性化と認知機能の維持・向上

アート活動は、脳の様々な領域を同時に刺激します

  • 多感覚の刺激
    絵を描く際の色彩感覚、粘土をこねる触覚、
    楽器を演奏する聴覚と指先の動きなど、
    複数の感覚を同時に使うことで、脳が活発に働きます
  • 創造性と問題解決能力
    何を、どのように表現するかを考えたり、
    作品を完成させる過程で生じる課題を解決したりすることで、
    創造性や思考力が養われます
  • 記憶力の刺激
    昔の風景や思い出を絵に描いたり、
    昔の歌を歌ったりすることは、
    長期記憶を呼び起こし、記憶の定着にも役立ちます
  • 集中力の向上
    作品制作や演奏に没頭することで、
    集中力が高まり、脳が適切な緊張状態を保ちます

    これは認知症予防の観点からも重要です

2-2. 精神的な安定と感情表現の促進

アートは、
言葉にならない感情を表現する手段となり、
心の健康を保つ上で非常に有効です

  • ストレス軽減とリラックス効果
    好きな音楽を聴いたり、美しい絵を鑑賞したり、
    あるいは無心で手を動かしたりすることは、
    心の安らぎをもたらし、ストレスや不安を軽減します
  • 感情の解放と癒し
    自分の感情を絵や作品に表現することで、
    内側に抱え込んでいる感情を解放し、
    カタルシス効果が得られます

    特に言葉で表現することが苦手な高齢者にとって、
    有効な手段となります
  • 自己肯定感の向上
    作品が完成した時の達成感や、
    他人から「いいね」と評価された時の喜びは、
    大きな自信と自己肯定感につながります

    これは
    「自分にはまだできることがある」という
    ポジティブな感情を育みます
  • うつ病・孤独感の軽減
    アート活動を通じて、
    生活に楽しみや張り合いが生まれることで、
    うつ病のリスクを減らし、孤独感の軽減にも繋がります

2-3. 社会とのつながりとコミュニケーションの促進

アートは、
人と人との新しいつながりを生み出す素晴らしいきっかけとなります

  • 共通の趣味を通じた交流
    アート教室やワークショップに参加することで、
    同じ趣味を持つ仲間と出会い、共感し合える喜びを分かち合えます

    共通の話題があるため、初対面でも会話が弾みやすく、
    自然なつながりが生まれます
  • 作品発表を通じたコミュニケーション
    自分の作品を展示したり、演奏を披露したりすることで、
    他者とのコミュニケーションが生まれます

    作品が話のきっかけとなり、新たな交流の輪が広がります
  • 多世代交流の促進
    子どもから高齢者まで、
    多様な世代が一緒にアート活動を行うことで、
    世代を超えた交流が生まれます

    異なる価値観に触れることで、
    高齢者の視野が広がり、社会との接点が増えます
  • 役割意識の獲得
    作品を教えたり、
    グループ活動で協力したりすることで、
    集団の中での自分の役割を感じ、貢献感を得られます

2-4. 身体機能の維持・向上

意外に思われるかもしれませんが、
アート活動は身体機能の維持にも貢献します

  • 手指の巧緻性
    絵筆を動かす、粘土をこねる、楽器の弦を押さえる、
    編み物をするなど、手指を細かく使う活動は、
    脳と手指の連携を強化し、巧緻性の維持に役立ちます
  • 姿勢とバランス
    絵を描く際に姿勢を意識したり、
    ダンスや楽器演奏で身体全体を使うことで、
    バランス感覚や筋力の維持にも繋がります
  • 外出機会の増加
    アート教室や美術館、コンサートなどに出かけることで、
    自然と外出する機会が増え、運動不足の解消にも繋がります

3. 高齢者がアート活動を始めるための具体的な方法

では、
高齢者の皆さんがアート活動を始めるためには、
どのような選択肢があるのでしょうか

  • 地域のカルチャースクール・公民館講座
    絵画、書道、陶芸、手芸、歌唱、楽器など、
    様々なジャンルの講座が開催されています

    初心者向けのクラスも多く、気軽に始められます
  • 高齢者交流施設・デイサービス
    レクリエーションの一環として、
    簡単なアート活動や音楽療法を取り入れている施設が増えています
  • ボランティア団体やNPOの活動
    高齢者を対象としたアートワークショップや、
    絵画教室、歌声喫茶などを開催している団体もあります
  • 美術館・博物館・コンサートホール
    作品を鑑賞するだけでも、アートの力を感じられます

    高齢者割引がある施設も多いので活用しましょう

    最近はデジタルコンテンツを活用したオンライン鑑賞も増えています
  • オンラインでのアート活動
    YouTubeで絵の描き方や楽器の演奏方法の動画を見たり、
    オンラインアート教室に参加したり、
    SNSで自分の作品を発表したりと、
    自宅で手軽に楽しめる方法も増えています
  • 自宅でできる簡単なアート
    スケッチブックと鉛筆で絵を描く、
    折り紙を折る、粘土で形を作る、音楽を聴きながら体を動かすなど、
    大がかりな準備がなくても始められるアートはたくさんあります

4. 高齢者のアート活動を支援する側ができること

高齢者アートの恩恵を最大限に受けるためには、
支援者やご家族の理解とサポートが不可欠です

  • 「やってみたい」という気持ちを尊重する
    本人の興味関心に耳を傾け、
    「何がしたいか」「何ならできそうか」を一緒に考えましょう
  • 最初の一歩をサポートする
    教室の情報を調べたり、
    体験レッスンに付き添ったりするなど、
    具体的な行動を後押ししましょう
  • 完璧を求めず、楽しむことを優先させる
    「上手く描かなくては」「ちゃんと演奏しなくては」
    といったプレッシャーを与えず、
    アート活動そのものを楽しむことを最優先させましょう
  • 小さな成果も大きく褒める
    完成した作品や、挑戦した過程を認め、
    積極的に褒めることで、本人の自信と意欲につながります
  • 発表の場を提供する
    完成した作品をリビングに飾ったり、
    家族や友人に披露する機会を作ったりすることで、
    達成感を高め、QOLの向上に繋がります
  • 安全と環境の配慮
  • 活動場所の安全性や、必要な道具の準備、体調への配慮など、
    安心してアート活動に取り組める環境を整えましょう

まとめ:アートの力で、高齢期をもっと豊かに

高齢者QOL向上において、
アートがもたらす力は計り知れません

脳の活性化、精神的な安定、社会とのつながり
そして身体機能の維持まで、その影響は多岐にわたります

特別な才能がなくても大丈夫です

大切なのは、
「楽しそう」「やってみたい」という純粋な気持ちと、
一歩踏み出す勇気です

支援者やご家族の皆さんは、
ぜひその一歩を温かくサポートしてください

アートは、
高齢者の皆さんの日常に彩りを与え、
新たな発見や喜びをもたらし、
より豊かで充実したセカンドライフを創造するための、
素晴らしい活動の1つとなるでしょう


この記事を書いた人

藤倉 健太のアバター 藤倉 健太 日本高齢者QOL学会 理事

・了德寺大学健康科学部整復医療トレーナー学科卒業
・柔道整復師/健康運動指導士/中学•高等学校教員免許
介護施設でのリハビリ(機能訓練)や体操指導を中心に、0〜106歳までの方々の健康を支えてきました。日本高齢者QOL学会の理事として、巷に溢れる健康情報を論文ベースにわかりやすく伝えていきます。

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