親の介護が必要になったら、まず最初にやること

「もしかして、介護が必要になる日が来るかもしれない…」

仕事や子育てで忙しい日々が続いていると
親との連絡の機会が減ってしまうことってありますよね。

ある日突然、
の体調が悪化したり、
認知症の症状が顕著になったりして、
「どうしよう?」と
途方に暮れる日が来るかもしれません。

今回のブログでは、
いざ介護が必要になった時に、
慌てずに最初の一歩を踏みだせる方法を解説します

仕事との「両立」を視野に入れながら、
何から始めるべきか、
具体的なステップと心構えについて、
分かりやすく解説していきます。


1. 「親の介護」の予兆を捉える:異変に気づいたら

介護が必要になるサインは、
必ずしも急な病気や事故ではありません。

多くの場合、日々の小さな変化の中に隠されています。

  • 認知機能の変化に気づく
    • 以前は自分でできていた買い物の計算間違いが増える、
    • 同じ話を何度も繰り返す、薬の飲み忘れが頻繁になる。
    • 電話で話していても、話のつじつまが合わなくなることが増えた、など。

  • 身体機能の変化に気づく
    • 以前より歩く速度が著しく遅くなった、
    • 手すりがないと階段の上り下りが辛そう、
    • よく転ぶようになった、など。
  • 生活習慣の変化に気づく
    • 部屋が散らかり始めた、
    • 身だしなみに気を遣わなくなった、
    • 食事がきちんと摂れていないようだ、
      といった様子が見られたら要注意です。


もし、
このような「あれ?」と感じる異変に気づいたら、
それが「介護」のスタートラインに立つ最初の合図です。

この段階で、
漠然とした違和感を捉えることが、
後のスムーズな対応につながります。


2. 最初の一歩:地域包括支援センターに連絡する

介護が必要だと感じた時、
まず最初にすべきことは、
地域包括支援センターに連絡することです。

ここが、
あなたが頼れる「総合窓口」となります。

  • 地域包括支援センターとは?
    • 高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるように、
      介護、医療、福祉など様々な面からサポートする中核機関です。

      市区町村が設置しており、
      専門職(保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなど)が配置されています。
  • なぜ最初に連絡すべきなのか?
    • 無料の総合相談窓口
      どんな些細な悩みでも無料で相談できます。

      介護の知識がなくても、
      専門家が状況を丁寧に聞いてくれます。
    • 情報提供と連携
      の状況に合わせて、
      適切な医療機関の紹介、介護保険制度の利用方法、
      地域の介護サービスの情報提供など、必要な情報を教えてくれます。

      また、
      病院や行政、他の専門機関との連携もサポートしてくれます。
    • 客観的な視点
      家族だけでは感情的になりがちな介護の問題に、
      客観的な視点でアドバイスをくれます。

3. 次のステップ:親の状態を「見える化」し、「介護保険」を申請する

地域包括支援センターに相談したら、
次はの状態を客観的に評価し、
介護サービスを受けるための手続きに進みます。

  • 医師の受診
    • 地域包括支援センターの助言を受け、
      が専門医(かかりつけ医、脳神経内科、精神科、物忘れ外来など)
      を受診できるように促します。

      この際、
      が受診を拒否することもありますが、
      「健康チェックのついでに」
      「最近よく眠れていないみたいだから先生に相談してみよう」など、
      が受け入れやすい言葉を選ぶのがポイントです。

      医師の診断(意見書)は、介護保険の申請に必要です。
  • 介護保険の申請:「要介護認定」への道
    • の住む市区町村の窓口、
      または地域包括支援センターで介護保険の申請を行います。
    • 申請後、の自宅に調査員が訪問し、
      心身の状態や生活状況を調査します(訪問調査)。
    • 主治医の意見書と訪問調査の結果をもとに、
      介護認定審査会が審査を行い、
      「非該当」「要支援1・2」「要介護1~5」
      のいずれかの認定が出されます。
    • ポイント
      認定には数週間~1ヶ月以上かかる場合があるため、
      早めに申請することが重要です。

      この認定結果によって、
      受けられるサービスの種類や量が決まります。

      もしも
      認定の結果に不満がある場合は
      再度、認定調査を依頼できることもあります。

      その際は、
      担当のケアマネジャーなどに
      相談してみましょう。

4. ケアプラン作成とサービス利用の開始

介護認定が出たら、
いよいよ具体的な介護サービスの利用へと進みます。

  • ケアマネジャーとの面談
    • 要支援の認定を受けた場合は
      地域包括支援センターの担当者が、
      要介護の認定を受けた場合は
      居宅介護支援事業所のケアマネジャーが、
      親と面談を行います。
    • ケアマネジャーは、
      の心身の状態、生活環境、希望などを詳しく聞き取り、
      それに基づいて「ケアプラン」を作成します。

      ケアプランは、
      どのようなサービスを、
      どのくらいの頻度で利用するかを具体的に示した計画書です。
    • ポイント
      この面談には、できる限りあなたも同席し、
      の意向やあなたの希望(仕事との両立に関する制約など)
      をしっかり伝えることが重要です。
  • サービス内容の決定と利用開始
    • ケアプランに沿って、
      訪問介護(ホームヘルパー)、
      通所介護(デイサービス)、
      短期入所生活介護(ショートステイ)、
      福祉用具のレンタルなど、
      必要なサービスが決定され、利用が開始されます。

5. 仕事との「両立」を見据えた準備と心構え

介護が始まると、
あなたの生活や仕事にも大きな影響が出ます。

スムーズな「両立」のためには、事
前の準備と心構えが重要です。

  • 職場の理解を得る
    • 介護休業や介護休暇など、
      会社にどのような制度があるかを確認しましょう。

      上司や人事担当者に状況を伝え、
      理解と協力を得られるように相談してみてください。
    • ポイント
      事前に情報を共有することで、
      急な介護の必要が生じた際もスムーズに連携でき、
      不要なストレスを避けられます。
  • 頼れる「チーム」を作る
    • 一人で抱え込まないことが何よりも大切です。

      兄弟姉妹、親戚、地域の友人、
      そして介護サービス事業者、ケアマネジャーなど、
      を支える「チーム」を作りましょう。

      役割分担を明確にし、
      定期的に情報交換を行う場を持つと良いでしょう。

  • 自身の心身のケアも大切に
    • ビジネスケアラー(働きながら介護する人)は、
      ストレスや疲労が蓄積しやすい立場です。

      自身の健康を犠牲にしては、
      を支え続けることはできません。

    • ポイント
      短時間でも良いので趣味の時間を持つ、
      信頼できる人に話を聞いてもらう、
      定期的に体を動かすなど、
      リフレッシュできる時間を作りましょう。

まとめ:不安を乗り越え、親と自分のQOLを守るために

介護が必要になった時、
多くの現役世代は不安と戸惑いを感じるでしょう。

しかし、
事前に知識を持ち、
適切なステップを踏むことで、
余裕を持って進めることができます。

まず最初にすべきは、
迷わず地域包括支援センターに連絡することです。

※基本は地域包括支援センターですが、
民生委員や社会福祉協議会などに馴染みがあれば
まずは、そちらに相談しても大丈夫です

そこから
親の状態の把握、
介護保険の申請、
ケアプランの作成といったプロセスは、
介護と仕事の「両立」を実現するための最初の1歩です。

一人で抱え込まず、
専門機関や家族、職場の仲間など、
周囲の協力を得ながら、あなた自身も健康で、
と共に心穏やかな日々を送るために、
今回の内容が助けになれば幸いです。


この記事を書いた人

藤倉 健太のアバター 藤倉 健太 日本高齢者QOL学会 理事

・了德寺大学健康科学部整復医療トレーナー学科卒業
・柔道整復師/健康運動指導士/中学•高等学校教員免許
介護施設でのリハビリ(機能訓練)や体操指導を中心に、0〜106歳までの方々の健康を支えてきました。日本高齢者QOL学会の理事として、巷に溢れる健康情報を論文ベースにわかりやすく伝えていきます。

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