「せっかく食事の準備をしたのに、食べてくれない」
「お風呂に入ってほしいのに、頑なに入ってくれない…」
認知症の介護をしていると、
このような「介護拒否」に直面し、
心が折れそうになる経験は少なくありません。
なぜ、親は介護を拒否するのでしょうか?
それは、あなたが「困らせよう」としているのではなく、
認知症という病気が引き起こす、
さまざまな理由があるからです。
このブログでは、
認知症の介護拒否が起こる主な原因を理解し、
親との信頼関係を壊さずに
介護をスムーズに進めるための具体的な対処法を解説します。
一人で抱え込まず、
親とあなた自身を守るためのヒントを見つけていきましょう。
1. なぜ起こる?認知症の介護拒否の主な原因
介護拒否は、
認知症の症状の一つであり、
その原因は一つではありません。
- 自尊心の低下と羞恥心
- 「自分のことは自分でしたい」
という強い気持ちや、
他人に世話をされることへの羞恥心から、
介護を拒否する場合があります。
特に入浴や排泄といったデリケートな介護では、
この傾向が強く現れます。
- 「自分のことは自分でしたい」
- 恐怖心と不安
- 認知機能が低下すると、
次に何をされるのか理解できず、
介護を受けること自体が「怖い」と
感じることがあります。
突然体を触られたり、
慣れない場所(お風呂など)に
連れて行かれたりすることで、
恐怖心から拒否してしまうのです。
- 認知機能が低下すると、
- 必要性の理解ができない
- 歯磨きやお風呂、着替えなど、
介護の必要性がわからなくなっている場合があります。
「さっき入ったばかりだ」と勘違いしたり、
「汚れていないから大丈夫」と
思い込んでいたりするため、
介護を拒否してしまいます。
- 歯磨きやお風呂、着替えなど、
- これまでの生活習慣との違い
- 長年培ってきた生活習慣やこだわりは、
認知症になってもなくなりません。
「食事の前にお風呂に入っていた」
「朝食はパンと決めている」といった
習慣が崩されると、
強い拒否反応を示すことがあります。
- 長年培ってきた生活習慣やこだわりは、
- 体調不良や痛み
- 頭痛や便秘、関節の痛みなど、
体の不調をうまく言葉で伝えられないため、
介護拒否という形でSOSを発している場合があります。
- 頭痛や便秘、関節の痛みなど、
2. 介護拒否が起きた時のNG行動と適切な対処法
介護拒否に直面した時、
ついやってしまいがちなNG行動と、
相手の気持ちに寄り添う適切な対処法を知っておきましょう。
NG行動:無理強いする、責める、説得する
- 「いいから、やって!」と無理強いする
無理やり介護を進めようとすると、
相手の恐怖心や不安をさらに増幅させ、
かえって拒否を強めてしまいます。 - 「どうしてわかってくれないの」と責める
感情的になって相手を責めると、
相手は「自分はダメな人間だ」と感じ、
自尊心を深く傷つけられます。 - 「これをしないと体に悪いよ」と正論で説得する
認知症の方には、
論理的な説明が伝わらないことがほとんどです。
適切な対処法:理由を探り、寄り添う
- まずは理由を探る
拒否された時、怒ったり悲しんだりする前に、
「なぜ嫌がるのかな?」と
相手の気持ちを想像してみましょう。
体調は悪くないか、嫌がる原因は何か、など、
相手の言葉や表情、行動をよく観察することが大切です。 - 無理強いせず、いったん引いてみる
一度拒否されたら、
無理に続けず、時間やタイミングを変えてみましょう。
「今は気分じゃないのかな?
じゃあ、後でまた一緒にやってみようか」と、
一度その場から離れることで、
気持ちが落ち着くことがあります。 - 具体的な声かけとジェスチャー
抽象的な言葉は伝わりにくいため、
「お風呂に入ってさっぱりしよう」ではなく、
「お風呂が湧いたよ」
「お風呂に入って、気持ちよさそうだね」と、
具体的でポジティブな声かけを心がけましょう。
ジェスチャーも有効です。 - 「できること」を探す
介護拒否の裏には、
「自分でやりたい」という気持ちが隠れています。
親が自分でできることは、
できるだけ親に任せましょう。
「この服とこの服、どちらがいい?」
と選択肢を与えたり、
「顔を洗うところまでやってみて」
と役割を与えたりすることも有効です。 - 専門家の力を借りる
どうしても介護拒否が改善されない場合は、
一人で抱え込まず、
ケアマネジャーや訪問介護のヘルパーさんに相談しましょう。
専門家は、
豊富な経験と知識から、
親の状況に合わせた的確なアドバイスやサポートをしてくれます。
まとめ
認知症の介護拒否は、
介護者にとって最も辛い介護の一つです。
しかし、
相手が「わざと」拒否しているわけではない
ということを理解することが、
この問題を解決するための第一歩です。
親の気持ちに寄り添い、
理由を探り、無理のない介護を模索する。
そして、
一人で抱え込まずに専門家の力を借りる。
これらのアプローチで、
親とあなたの両方が笑顔で過ごせる、
穏やかな介護生活を目指していきましょう。