「見る・話す・触れる・立つ」ユマニチュードで変わる、認知症ケア

ユマニチュード」という言葉を耳にしたことがありますか?

これは、
「人間らしさ」を意味するフランス語から生まれた、
認知症の方々とのコミュニケーションに特化したケア技法です。

認知症の症状によって、
意思の疎通が難しくなったり、
介護拒否が起きたりすると、
介護者も辛い思いをすることがあります。

しかし、
ユマニチュードは、「見る」「話す」「触れる」「立つ」
という4つの柱を通して、
「あなたは大切な存在だ」というメッセージを伝え、
安心感と信頼関係を築くことを目指します。

このブログでは、
ユマニチュードの基礎知識と、
日々の介護の中で実践できる具体的な方法を解説します。

今日から実践して、
との笑顔あふれる時間を取り戻しましょう!


1. ユマニチュードの4つの柱:人間らしさを尊重するケア

ユマニチュードは、
以下の4つの柱に基づいています。

これらの行動を意識することで、
は「尊重されている」「大切にされている」と感じ、
介護への抵抗感が和らぎます。

  • 見る(眼差し)
    • ポイント
      同じ目の高さで、真正面から見つめます。

      目を合わせることで、
      「あなたはここにいますよ」
      「あなたのことをちゃんと見ていますよ」
      というメッセージが伝わります。
    • 注意点
      3秒以上目を合わせるのが基本ですが、
      が不快に感じているようであれば、
      無理に続ける必要はありません。

  • 話す(言葉)
    • ポイント
      ケアを始める前や、触れる時、部屋を出る時など、
      常に肯定的な言葉で話しかけましょう。

      何をするのか、
      なぜそうするのかを簡潔に、優しいトーンで説明します。

    • 「これからお顔を拭きますね」
      「気持ちよさそうですね」
      といった言葉をかけながらケアを進めます。

  • 触れる(触覚)
    • ポイント
      接触は、広い面で、優しく、ゆっくりと行います。

      指先や点で触れると、
      は「つままれた」「つかまれた」と感じて、
      驚いたり、不快に感じたりすることがあります。
    • 注意点
      触れる前には必ず声かけを行い、
      が心の準備ができるように配慮します。

  • 立つ(起立)
    • ポイント
      寝たきりの状態が続くと、
      心身の機能がどんどん衰えてしまいます。

      できる限り自分の足で立つ機会を作りましょう。

    • 食事の時、トイレに行く時、着替えをする時など、
      少しの時間でも立つことを促します。

      立つことで、
      は自分の存在を再認識し、
      自尊心を取り戻すことができます。

2. 日々のケアで実践できるユマニチュードの具体例

ユマニチュードは、
特別な訓練がなくても、
日々の介護の中で実践することができます。

具体例①:朝の挨拶

  • NG例
    「朝ですよ。起きてください。」

  • OK例
    の横に座り、目を合わせながら笑顔
    「おはようございます。今日もいい天気ですね」
    と優しく声をかける

具体例②:食事介助

  • NG例
    無言で食事を口に運ぶ。
  • OK例
    食事の前に目を合わせ
    「今からご飯を食べましょうね」と声をかけます。

    スプーンを持つ手を広い面で優しく包み込むように触れ
    「美味しそうですね」と
    ポジティブな言葉をかけながら食事を進めます。

具体例③:着替え

  • NG例
    何も言わずに服を脱がせる。

  • OK例
    「これから洋服を着替えましょうね」と声をかけ、
    が自分でできる部分があれば、
    「このボタン、自分でやってみませんか?」と促します。

    立つことができる場合は、
    立った状態で着替えるようにサポートしましょう。

3. ユマニチュードを成功させるための注意点

ユマニチュードは、
魔法ではありません。

実践する上では、
いくつかの注意点があります。

  • 焦らない
    初めから全てを完璧に行う必要はありません。

    まずは「見る」ことから始め、
    少しずつユマニチュードの技法を取り入れていきましょう。

  • 親の反応を尊重する
    が嫌がっている場合は、
    無理に続ける必要はありません。

    その日の体調や気分に合わせて、
    柔軟に対応することが大切です。

  • 信頼関係の構築が第一
    ユマニチュードの真髄は、
    との信頼関係を築くことです。

    日頃からの心に寄り添い、
    優しく接することで、
    ユマニチュードの効果はさらに高まります。

まとめ

ユマニチュードは、
認知症の方とのコミュニケーションを改善し、
介護ストレスを減らすための強力なツールです。

見る」「話す」「触れる」「立つ
という4つの柱を意識することで、
は「自分は尊重されている」「大切な存在だ」と感じ、
自尊心を取り戻すことができます。

今日からユマニチュードを実践して、
とあなたの間に笑顔と信頼が生まれる、
穏やかな介護生活を築いていきましょう。

この記事を書いた人

藤倉 健太のアバター 藤倉 健太 日本高齢者QOL学会 理事

・了德寺大学健康科学部整復医療トレーナー学科卒業
・柔道整復師/健康運動指導士/中学•高等学校教員免許
介護施設でのリハビリ(機能訓練)や体操指導を中心に、0〜106歳までの方々の健康を支えてきました。日本高齢者QOL学会の理事として、巷に溢れる健康情報を論文ベースにわかりやすく伝えていきます。

目次