デジタルでつなぐ、高齢者の社会!

「最近、なんだか人と話す機会が減ったな」

「家にこもりがちで、気分が沈む」

もし、
あなたの身近な高齢者がそう感じているなら、
それは社会的孤立の兆候かもしれません

高齢期の孤立は、
健康問題や認知機能の低下にもつながり、
QOL(Quality of Life:生活の質)を
大きく低下させてしまう深刻な問題です。

しかし、
現代のテクノロジー、特にデジタル機器の活用は、
この社会的孤立を解消し、
高齢者の生活を豊かにする強力なツールとなり得ます

このブログでは、
なぜ高齢者が孤立しやすいのか、
デジタル機器がどのように孤立を防ぐのか、
そしてその活用を促すために支援者や家族ができることについて、
具体的に解説していきます。


1. 高齢者の社会的孤立:見過ごされがちな現代の課題

まず、
なぜ高齢期に社会的孤立が起こりやすいのか、
その背景を理解することが重要です。

  • 身体機能の低下
    視力や聴力の衰え、移動能力の低下などにより、
    外出や人と会うことが億劫になったり、困難になったりします
  • 社会との接点の減少
    定年退職により職場という大きなコミュニティを失ったり、
    配偶者や友人を亡くしたりすることで、
    自然と人との接点が減少します
  • 地域コミュニティの変化
    核家族化や地域の人間関係の希薄化が進み、
    近所付き合いが減少する傾向にあります
  • 経済的な問題
    経済的な不安から、
    外出や趣味にかかる費用を抑え、
    結果的に社会参加の機会が減ることもあります
  • デジタルデバイド
    デジタル機器の操作に不慣れなため、
    情報収集やオンラインでの交流から取り残され、
    社会との断絶を感じてしまうことがあります

これらの要因が複合的に絡み合うことで、
高齢者は意図せず社会的孤立の状態に陥りやすく、
それが精神的なストレスやうつ病、
さらには身体的な健康悪化に繋がる悪循環を生み出してしまいます


2. デジタル機器が「つながり」を生み出す!

ここで、
デジタル機器が高齢者社会的孤立を防ぎ、
QOLを向上させる上で、
どのように貢献できるのかを具体的に見ていきましょう

2-1. 家族・友人とのコミュニケーションの強化

デジタル機器の最も直接的な恩恵は、
コミュニケーションの障壁を取り払うことです

  • ビデオ通話で「顔の見える」交流
    離れて暮らす子どもや孫、遠方の友人と、
    スマートフォンやタブレットのビデオ通話機能を使えば、
    まるで隣にいるかのように顔を見ながら会話ができます

    声だけでなく表情が見えることで、
    感情がより伝わりやすくなり、
    深い安心感と幸福感を得られます

    孫の成長をリアルタイムで感じられる喜びは、
    何物にも代えがたいものです
  • メッセージアプリで気軽に連絡
    LINEなどのメッセージアプリを使えば、
    文字だけでなく写真や動画も手軽に送れます

    ちょっとした近況報告や、
    今日の出来事を共有することで、
    日々のつながりを維持しやすくなります

    「おはよう」
    「元気?」
    といった短いメッセージでも、
    受け取る側にとっては
    「気にかけてもらえている」という
    大きな安心感につながります
  • SNSで旧友と再会
    FacebookなどのSNSで、
    かつての同級生や職場の仲間を探し出し、
    再び交流を始めるケースも少なくありません

    共通の思い出を語り合ったり、
    現在の近況を知ったりすることは、
    過去とのつながりを再確認し、生活に新たな彩りをもたらします

2-2. 新しいコミュニティとのつながりと趣味の拡大

デジタルは、
既存の関係性を深めるだけでなく、
新たな「居場所」や「生きがい」を見つけるきっかけにもなります

  • オンラインコミュニティへの参加
    趣味のグループや地域の情報交換グループなど、
    オンライン上には様々なコミュニティが存在します

    例えば、
    園芸好きの高齢者が、遠隔地に住む同じ趣味の人々と、
    育てた花の写真を共有したり、
    育て方のアドバイスを交換したりできます

    これは、
    共通の話題を通じて新たな友人を作り、
    孤独感を解消するだけでなく、
    生きがいや自己肯定感の向上にも繋がります
  • オンラインサロンや学習機会の拡大
    特定のテーマに特化したオンラインサロンや、
    YouTubeなどの動画サイトでは、
    趣味に関するノウハウや地域の情報、
    教養講座など、多種多様なコンテンツが提供されています

    自宅にいながらにして新しいことを学び、
    知識を深めることは、知的好奇心を満たし、
    生活にハリをもたらします
  • SNSを活用した情報発信
    自分の趣味の作品(写真、絵画、手芸など)を
    SNSで公開したり、
    日々の出来事をデジタル日記として発信したりすることも可能です
    他者からの「いいね」やコメントは、
    自己肯定感を高め、新たな交流を生み出すきっかけとなります

2-3. 情報へのアクセスと社会参加の促進

デジタル機器は、
高齢者が社会との接点を持ち続けるための窓口としても機能します

  • 公共サービス・地域情報へのアクセス
    自治体のウェブサイトから、高齢者向けのイベント情報、
    地域の助成金制度、健康診断の案内などを手軽に調べることができます

    これにより、
    社会から取り残されていると感じる機会が減り、
    必要なサービスを自ら見つけて利用できるようになります
  • ニュースや社会情勢の把握
    インターネットを通じて、
    国内外のニュースや社会情勢をリアルタイムで把握できます

    これにより、
    会話の引き出しが増え、
    家族や友人と共通の話題で盛り上がることができ、
    社会とのつながりを感じられます

3. デジタル活用を促すために:支援者・家族ができること

デジタル機器が高齢者社会的孤立解消に
大きな可能性を秘めている一方で、
その活用には支援者や家族の温かいサポートが不可欠です

  • ポジティブな声かけと「興味」の引き出し
    「難しいよ」
    「機械は苦手だから」
    といった先入観を持たず、
    「孫が喜ぶよ」
    「テレビで見たあの場所、調べてみない?」など、
    高齢者本人の興味関心に合わせた声かけを心がけましょう

    何のためにデジタルを使うのか、
    そのメリットを具体的に示すことが大切です
  • 「簡単」「楽しい」体験から始める
    いきなり多機能なアプリを勧めるのではなく、
    ビデオ通話や写真の共有、天気予報の確認など、
    シンプルで分かりやすい機能から始めましょう

    一度
    「できた」「楽しい」という成功体験を積むことが、
    次のステップへの意欲につながります
  • 根気強く、個別指導で寄り添う
    操作に戸惑うのは当然のことです

    専門用語を避け、
    ゆっくりと、視覚的に分かりやすく説明し、
    何度も繰り返して一緒に操作しましょう

    高齢者一人ひとりのペースに合わせて、
    焦らず見守る姿勢が重要です

    時には「私にも分からないことがあるのよ」と、
    完璧でなくても大丈夫であることを示すのも効果的です
  • 安全・安心な利用環境を整える
    詐欺サイトや誤情報のリスクについて伝え、
    不審なメールやメッセージには安易に触れないよう注意喚起しましょう

    セキュリティソフトの導入やパスワード管理のサポートも重要です

    困ったときにすぐに相談できるサポート体制を整えることで、
    安心してデジタル機器を使えるようになります
  • 「使う目的」を明確にする
    「何のためにデジタルを使うのか」
    を明確にすることで、使用へのモチベーションが高まります

    例えば、
    「離れて暮らす孫と話したいから、ビデオ通話の使い方を覚えよう」
    といった具体的な目標設定は、
    学習意欲を持続させる力になります
  • 地域のデジタル教室や相談窓口の活用
    自治体やNPOが開催する高齢者向けのデジタル教室や、
    スマートフォンの相談窓口などを積極的に活用することも有効です

    専門家の指導を受けたり、
    同じ世代の人々と一緒に学んだりすることで、
    抵抗感が薄れることがあります

まとめ:デジタルでつながる、豊かな高齢期を

高齢者社会的孤立は、
現代社会が抱える大きな課題です

しかし、
デジタル機器の積極的な活用は、
この課題を解決し、
彼らのQOLを大きく向上させる無限の可能性を秘めています

家族や友人との絆を深め、
新しいコミュニティとつながり、
趣味を広げ、社会との接点を維持する

これらの「つながり」こそが、高齢者の幸福感の源です!

支援者やご家族の皆さん、
ぜひ一歩踏み出して、
あなたの身近な高齢者デジタルの世界とつながる手助けをしてあげてください

最初は戸惑うかもしれませんが、
きっと彼らの世界が大きく広がり、
より豊かで充実した生活に繋がるはずです!

デジタルの力を借りて、
高齢者社会的孤立を防ぎ、
心豊かな未来を共に築いていきましょう


この記事を書いた人

藤倉 健太のアバター 藤倉 健太 日本高齢者QOL学会 理事

・了德寺大学健康科学部整復医療トレーナー学科卒業
・柔道整復師/健康運動指導士/中学•高等学校教員免許
介護施設でのリハビリ(機能訓練)や体操指導を中心に、0〜106歳までの方々の健康を支えてきました。日本高齢者QOL学会の理事として、巷に溢れる健康情報を論文ベースにわかりやすく伝えていきます。

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