高齢者の皮膚の衰え「スキンフレイル」のサインと対策

「最近、少しぶつけただけでアザができる」
「皮膚がカサカサしてかゆい」

このような皮膚の小さな変化は、
単なる乾燥や老化だと思われがちです。

しかし、
実は全身の衰えのサインである
スキンフレイル」かもしれません。

スキンフレイルは、
加齢に伴い皮膚がもろく弱くなった状態を指します。

放置すると、皮膚のバリア機能が低下し、
感染症床ずれ(褥瘡)のリスクが高まります。

そして、
皮膚の健康は、体の健康と密接に関わっているため、
スキンフレイルは全身のフレイル(虚弱)
を加速させる要因にもなりえます。

このブログでは、
スキンフレイルの主なサインと、
今日からできる具体的な対策を解説します。

大切なやご家族の皮膚の健康を守り、
全身の健康を保つためのヒントを見つけていきましょう。


1. スキンフレイルの主なサインとリスク

スキンフレイルは、
以下のようなサインから始まります。

  • 乾燥とカサつき
    加齢に伴い、皮膚の保湿機能が低下し、
    全身が乾燥しやすくなります。

    特にかかとや脛、腕などがカサカサし、
    粉を吹くような状態になります。

  • 皮膚のバリア機能の低下
    乾燥や摩擦によって、
    皮膚の表面にあるバリア機能が弱まります。

    これにより、
    細菌やアレルゲンが侵入しやすくなり、
    かゆみや炎症を引き起こします。

  • アザができやすい
    皮膚が薄くなり、血管が弱くなることで、
    少しぶつけただけでも内出血を起こしやすくなります。

  • 治りにくい傷
    皮膚の再生能力が低下するため、
    一度できた傷が治りにくくなります。

  • 赤みや発疹
    衣服や寝具との摩擦、汗などによって、
    皮膚が赤くなったり、発疹が出やすくなります。

これらのサインは、
「転倒」や「低栄養」といった他のフレイル
の要因と深く関連していることが分かっています。


2. 今日からできる!スキンフレイル対策

スキンフレイルは、
日々のケアで予防・改善が可能です。

対策1: 洗いすぎない、優しく洗う

皮膚のバリア機能を守るためには、
洗いすぎは禁物です。

  • ぬるめのお湯で
    熱いお湯は皮膚の油分を奪い、
    乾燥を加速させます。

    38~40℃程度のぬるめのお湯で、
    短時間で済ませましょう。

  • 石鹸を泡立てて
    洗浄力の強い石鹸を使いすぎず、
    ボディソープは十分に泡立てて、
    手で優しく洗いましょう。

    タオルやスポンジでゴシゴシこするのは厳禁です。

対策2: 保湿ケアを徹底する

入浴後の保湿は、
スキンフレイル対策の基本です。

  • 入浴後5分以内に
    入浴後は皮膚の水分が蒸発しやすいため、
    5分以内に保湿剤を塗りましょう。

  • 全身に丁寧に
    顔だけでなく、乾燥しやすい脛や腕、背中など、
    全身にまんべんなく塗りましょう。

  • 保湿剤の選び方
    ワセリン、セラミド、ヒアルロン酸など
    が含まれた保湿剤は、保湿力が高くおすすめです。

対策3: 摩擦や圧迫を避ける

皮膚への外部からの刺激を減らすことが大切です。

  • 衣類の素材
    吸湿性・通気性の良い綿やシルクなど、
    肌に優しい素材の衣類を選びましょう。

  • 寝具の工夫
    シーツや布団カバーのシワを伸ばし、
    体圧分散できるマットレスやクッションを活用して、
    床ずれを予防しましょう。

まとめ

スキンフレイルは、
ただの皮膚の衰えではなく、
全身の健康のバロメーターです。

優しく洗う」「しっかり保湿する」「摩擦を避ける
という3つのケアを日々の習慣にすることで、
皮膚の健康を保ち、フレイルを予防することができます。

大切な親やご家族の皮膚を注意深く観察し、
小さなサインを見逃さないようにしましょう。

この記事を書いた人

藤倉 健太のアバター 藤倉 健太 日本高齢者QOL学会 理事

・了德寺大学健康科学部整復医療トレーナー学科卒業
・柔道整復師/健康運動指導士/中学•高等学校教員免許
介護施設でのリハビリ(機能訓練)や体操指導を中心に、0〜106歳までの方々の健康を支えてきました。日本高齢者QOL学会の理事として、巷に溢れる健康情報を論文ベースにわかりやすく伝えていきます。

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